
日本には、勃起不全(ED)の人が約1000万人いるといわれているほど、多くの人が患っている病気です。EDになっても、恥ずかしさやプライドなどから誰にも相談できずにひとりで悩んでいる人は多いでしょう。
EDには、多くの原因が考えられ、中には原因がわからないものもあります。
心理的な問題から起こる機能性ED、血管や神経などの問題から起こる器質性ED、薬の副作用が原因で起こる薬剤性ED、複数の原因が複合して起こる複合型EDに分類できます。
EDを勃起がしにくくなるだけと侮ってはいけません。EDの発症が深刻な病気の初期症状で、その病気が進行している可能性もあります。
目次
EDは大きく分けると4つに分類できます
EDは大きく分けると機能性ED、器質性ED、薬剤性ED、複合型EDに分類されることが多いようです。しかし、EDはひとつのことが原因になる場合もありますが、複数の原因が重なって発症することが多いため、厳密に原因を分類することは難しいと考えられています。
EDの分類
EDの種類 | 主な原因 |
機能性ED | ストレス、うつ病などの精神疾患 |
器質性ED | 動脈硬化、神経障害、喫煙やアルコールなど |
薬剤性ED | 降圧薬、抗うつ薬、ホルモン剤など |
複合性ED | 加齢、糖尿病、メタボリックシンドロームなど |
精神的なストレスと勃起のしにくさには関係があります
EDに悩んでいる若い方に最も多い原因は、精神的なストレスによるEDです。肉体的には問題がないにもかかわらず、勃起しなかったり、勃起しにくかったりという状態になります。
精神的ストレスの原因は、日常生活におけるストレスや過去の性交渉時におけるトラウマなどが考えられます。自分の意思とは関係なく勃起できなくなってしまうため、さらに精神的ストレスを感じて悪循環につながるケースもあります。
うつ病などの精神疾患にかかるとEDになりやすいといわれています。性行為する気になれない、面倒くさい、と思うようになってしまうためです。
禁煙するとEDが改善する可能性があります
喫煙とEDが関係していると知らない人もいるでしょうが、喫煙が原因でEDになることがあるという報告があります。
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させるため血流が悪くなります。そのため、陰茎海綿体に血液が十分に流れなくなりEDになってしまうと考えられているのです。喫煙量や期間が、EDの発症に関係しているという報告もあります。
また、陰茎海綿体に血液を送る指令を出す神経に問題がある場合も、EDの原因となるといわれています。パーキンソン病や脳卒中、前立腺手術の際の神経損傷などで、このタイプのEDとなることがあります。後述しますが、神経障害の治療薬の中には、EDの原因となる副作用をもっているものがあるため、注意が必要です。
狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患もEDの原因となりますが、心血管疾患が発症する前にEDが発症したという報告があります。このようにEDは、深刻な病気が進行しているサインとなることもあるため、EDを軽く考えないようにしましょう。
服用している薬を確認しましょう
EDになった人の中には、服用している薬が原因となっている場合もあります。薬の副作用でEDが発症してしまうことがあるのです。
服用している薬の副作用でEDになった人は、薬を変えただけでEDが改善したという人もいますが、薬の服用をやめたあともED症状が改善しなかった人もいるという報告があります。薬の添付文書に、副作用としてEDを引き起こす可能性があると記載されていない薬もあるので、主治医に確認した方が良いでしょう。
EDを引き起こす可能性がある主な薬を表にまとめておきます。服用している薬がないかチェックしてみてください。
EDを引き起こす可能性がある薬
種類 | 薬剤名 |
降圧薬 | 利尿薬(サイアザイド、スピロノラクトン)、β遮断薬、Ca拮抗薬など |
抗うつ薬 | 三環系抗うつ薬、SSRI、MAO阻害薬 |
前立腺肥大症治療薬 | 5α還元酵素阻害薬 |
ホルモン薬 | エストロゲン製剤、抗アンドロゲン薬 |
脂質異常症治療薬 | スタチン系、フィブラート系 |
呼吸器・アレルギー用剤 | ステロイド剤、抗ヒスタミン薬、テオフィリン |
その他 | 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、プレバガリン |
(日本性機能学会 ED診療ガイドライン第3版 P19,20より引用改変)
ED予防は、まずは生活習慣を見直しましょう
複数の要因が重なってEDが発症することがあります。運動不足や不規則な生活、偏った食事などの生活習慣が深くかかわっている生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)はEDの原因になることがあります。
ED予防のためには、まず生活習慣を見直しましょう。規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動などをすることはED予防につながります。
年をとれば、若いころに比べると勃起力が低下するのは、自然なことです。そのことにストレスを感じてしまうと、そのストレスが原因となってEDが進行して重症化してしまうという悪循環に陥ってしまう可能性があります。
また、EDは深刻な病気のサインかもしれないので、気になったら出来るだけ早く泌尿器科や専門クリニックで診察してもらうことをおすすめします。
(まとめ)勃起しにくくなる原因は?
1.心理的なもの、他の病気、薬の副作用など数多くの原因が考えられます
日本には、勃起不全(ED)の人が約1000万人いるといわれているほど、多くの人が患っている病気です。
EDは、多くの原因が考えられ、中には原因がわからないものもあります。
2. EDは大きく分けると4つに分類できます
EDは大きく分けると機能性ED、器質性ED、薬剤性ED、複合型EDに分類されることが多いようです。しかし、複数の原因が重なって発症することが多いため、原因を分類することは難しいと考えられています。
3. 精神的なストレスと勃起のしにくさには関係があります
EDに悩んでいる若い方に最も多い原因は、精神的なストレスによるEDです。精神的ストレスの原因は、日常生活におけるストレスや過去の性交渉時におけるトラウマなどが考えられます。
うつ病などの精神疾患にかかるとEDになりやすいといわれています。
4. 禁煙するとEDが改善する可能性があります
喫煙が原因でEDになることがあるという報告があります。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させるため血流が悪くなるため、陰茎海綿体に血液が十分に流れなくなりEDになってしまうと考えられているのです。
陰茎海綿体に血液を送る指令を出す神経に問題がある場合も、EDの原因となるといわれています。
5. 服用している薬を確認しましょう
薬の副作用でEDが発症してしまうことがあります。薬の添付文書に、EDを引き起こす可能性が記載されていない薬もあるので、主治医に確認した方が良いでしょう。
6. ED予防は、まずは生活習慣を見直しましょう
運動不足や不規則な生活、偏った食事などの生活習慣が深くかかわっている生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)はEDの原因になることがあります。
また、EDは深刻な病気のサインかもしれないので、気になったら出来るだけ早く泌尿器科や専門クリニックで診察してもらうことをおすすめします。