妊娠のメカニズム

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妊娠しやすいタイミングはいつ?

最も妊娠しやすいタイミングは排卵の1~3日前です

卵子は約24時間しか生きられませんが 精子は2~3日、長くて1週間ほど生きていられます。
卵子が放出され卵管膨大部にたどり着いた時に、できるだけ多くの精子がすでにたどり着いて待機している状態が一番妊娠しやすいといわれています。

そのため、受精に至るまでの流れを考えると、排卵2~3日前が最も妊娠しやすいタイミングと考えられているのです。

受精卵が子宮内膜に着床して妊娠が成立します

下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンによって卵胞の成長を刺激し、黄体形成ホルモンによって排卵が促されます。成熟した卵子が卵巣から膣空内に飛び出します。

排卵された卵子は、卵管の先にある卵管采にキャッチされ卵管膨大部で精子を待ち、卵管までたどり着いた精子と卵子が卵管内で受精します。
卵子が生きていられるのは約24時間であるため、その間に受精しなければいけません。
受精した受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、7~10日ほどかけて子宮の奥へと運ばれ、子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。

妊娠するためには排卵日を知ることが大切ということはわかったと思いますが、排卵日を知らない方も多いと思います。病院で検査してもらうと正確な排卵日の予測ができますが、大まかなら自分でも排卵日を知る方法があります。いくつかご紹介いたしますが、これらの方法から複数を使った方が、より正確な排卵日を予測できるでしょう。

月経周期が規則的な方は、次の月経が始まる約14日前が排卵日になります。

女性はホルモン分泌の変化によって基礎体温が変動します。生理が始まってから排卵直前までが低温期で、排卵後に高温期になります。低温期から高温期に代わるあたりが排卵日だと予想できます。基礎体温を管理するアプリがあるので利用すると便利です。

黄体ホルモンの分泌のピーク後、24時間以内に排卵が起こるということを利用して、尿から黄体ホルモン量をチェックして排卵日を予測する排卵検査薬が薬局で販売されています。これを使って排卵日を予測してもよいでしょう。

射精された精子が卵子と出会うまでに数十分~数時間かかるといわれています

精子の全長は約0.05mmで子宮内腔を17cm前後移動して、卵子がある卵管膨大部にたどり着きます。精子の移動速度は35~50μm/s(0.035~0.05mm)といわれているので、理論上は1時間前後で卵管膨大部までたどり着くことになります。

射精されたばかりの精子には卵子と受精できる機能はありません。精子は、射精されてから卵管膨大部に移動するまでにいくつかの機能を獲得します。

卵母細胞を取り囲む透明帯の中へ精子が侵入することを助ける働きがあるとされているハイパーアクチベーションは、鞭毛の左右非対称な大きな振幅運動を特徴としています。

子宮頚部までたどり着いた精子は、卵子が発している物質に導かれ、卵子を目指すといわれています。

精子は卵子が出会ってからも厳しい競争があります

卵管膨大部までたどり着いた精子は、卵子を取り囲みます。その中で最初に卵子の透明帯を通過した精子だけが受精できるのです。

精子が卵子の中に侵入しようとする際に必要となるのが先体反応です。精子が卵子の表面にたどり着くと、精子の頭部を外膜が破れて卵子の透明帯を溶かすヒアルロニターゼとアクロシンという酵素が分泌されます。(先体反応)これらの酵素を分泌できない精子は顕微授精で受精させる必要があります。

先体反応を起こした精子は、先体に含まれているタンパク質分解酵素の融解作用により、透明帯に通路ができ囲卵腔に到達します。囲卵腔に到達した精子は運動をやめ、卵子の微絨毛によって卵子細胞内に取り込まれます。これが受精です。

ひとつの精子が囲卵腔に到達すると、透明帯は他の精子を受け付けなくなります。こうして数億の精子から、運が良いただひとつの精子が選ばれ受精できるのです。

 

卵子までたどり着ける精子は100万匹に1匹程度です

1回の射精で膣内に放出される精子の数は、数千万~数億匹ですが、子宮頚部までたどり着けるのは、数千~数十万匹といわれています。ここまでに射精された精子の99%以上の精子が死滅してしまいます。

膣内は、細菌やウイルスが侵入するのを防ぐために酸性状態に保たれています。この環境は精子が生きていくためには厳しい環境といえます。射精された精液はアルカリ性で、この酸性の環境から身を守ることができます。

子宮頸管も、普段は膣内と同様に酸性状態に保たれていますが。排卵直前になるとアルカリ性のおりものが分泌され精子が侵入しやすいような環境になっています。

しかし、子宮内に侵入した精子は白血球によって多くが死滅させられてしまうため、卵管膨大部までたどり着き卵子を取り囲むことができる精子の数は、数十~数百匹といわれています。仮に1回の射精で1億個の精子が放出されたとしたら、100万匹に1個の割合の精子しか卵子までたどり着けないことになります。

卵子を取り囲こんだ精子は、初めて卵子と受精できるスタートラインに立ったといえるでしょう。

正常な精液1mlには約1億匹の精子が存在していますが、精子の数が4000万匹以下になると自然妊娠が難しくなるといわれています。2000万匹以下になると不妊治療の対象となるという報告があります。

(まとめ)妊娠しやすいタイミングはいつ?

最も妊娠しやすいタイミングは排卵の1~3日前です

卵子が放出され卵管膨大部にたどり着いた時に、できるだけ多くの精子がすでにたどり着いて待機している状態が一番妊娠しやすいといわれています。

受精に至るまでの流れを考えると、排卵1~3日前が最も妊娠しやすいタイミングと考えられているのです。

受精卵が子宮内膜に着床して妊娠が成立します

排卵された卵子は、卵管の先にある卵管采にキャッチされ卵管膨大部で精子を待ち、卵管までたどり着いた精子と卵子が卵管内で受精します。

受精した受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、7~10日ほどかけて子宮の奥へと運ばれ、子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。

射精された精子が卵子と出会うまで数十分~数時間かかるといわれています

精子は子宮内腔を17cm前後移動して、卵子がある卵管膨大部にたどり着きます。精子の移動速度は35~50μm/s(0.035~0.05mm)といわれているので、理論上は1時間前後で卵管膨大部までたどり着くことになります。

精子は卵子と出会ってからも厳しい競争があります

卵管膨大部までたどり着いた精子は、卵子を取り囲みます。その中で最初に卵子の透明帯を通過した幸運な精子だけが受精できるのです。

卵子までたどり着ける精子は100万匹に1匹程度です

1回の射精で膣内に放出される精子の数は、数千万~数億匹ですが、子宮頚部までたどり着けるのは、数千~数十万匹といわれています。さらに、卵管膨大部までたどり着き卵子を取り囲むことができる精子の数は、数十~数百匹といわれています。仮に1回の射精で1億個の精子が放出されたとしたら、100万匹に1個の割合の精子しか卵子までたどり着けないことになります。