男性不妊の改善とカルニチンの関係性

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L-カルニチンは男性不妊の改善と関係があると考えられています。
L-カルニチンを摂取することで、精子濃度の増加、精子の運動率が向上するという複数の論文が発表されています。

ダイエット、偏食、加齢によって体内のL-カルニチン濃度が低下するとされています。L-カルニチン不足になるような生活をしていると、精子の質が低下する可能性があるという報告があるので注意してください。L-カルニチンは体内でも作られますが、必要とされる量には足らないといわれているので、食事やサプリメントで補給する必要があるとされています。L-カルニチンは肉類(特にヤギや羊の肉)、赤貝に多く含まれています。

男性不妊には多くの原因が考えられていますが、確立されている改善法はまだないといわれています。そのため、男性不妊の改善法としてL-カルニチンが注目され始めています。

男性不妊の原因は造精機能障害が最も多い?

造精機能障害は、精子を正常の人に比べてうまく作れない状態のことです。男性不妊で悩んでいる人の80%以上は、造精機能障害が原因であると言われています。

造精機能障害には、無精子症、乏精子症、精子無力症などがあります。クラインフェルター症候群のように性染色体異常が原因の先天性のものや、ストレス・肥満・アルコール・抗がん剤治療・放射線治療などが原因の後天性のものがあります。

無精子症とは、精液の中に精子が全くない状態です。閉塞性と非閉塞性があります。閉塞性無精子症は、精子は正常に作られているのに精子の通り道に問題がある状態のことです。非閉塞性無精子症は、精子を作る能力が低下してしまっている状態のことです。

乏精子症は、精液中の精子濃度が著しく低い状態のことです。精子無力症は運動性の悪い精子が多い状態のことです。

男性不妊の原因にはその他にも、精子DNAの損傷、精索静脈瘤、奇形精子症、EDなどの性機能障害など様々なものがあります。

 

男性不妊の改善法は?

男性不妊の改善・対策には、外科的治療、顕微授精、投薬、生活習慣の改善などがあります。

外科的治療は、精巣の上にある精索静脈の血液が逆流し瘤ができてしまう精索静脈瘤の治療や、閉塞性無精子症の治療、顕微授精をするための精巣内精子回収術などで行われます。
閉塞性無精子症に外科手術を行っても、精液中に精子が現れないことや、精子が現れても自然妊娠することができる精子数に満たない可能性もあります。

顕微授精は体外受精と違って、精子の数が少ない、精子の運動率が低い場合にも受精卵を得られる方法です。理論的には精子が1匹あれば顕微授精は可能と言えます。

造精機能障害の原因がわかっている場合には、その治療薬を投与すれば造精機能障害が改善することがあります。甲状腺機能低下が原因の場合は甲状腺ホルモンを投与し、抗精子抗体を持つ場合にはステロイドを投与して、造精機能障害の改善を目指します。

しかし、現在はまだ造精機能障害を改善するための確立された治療法はないと考えられています。

男性不妊は生活習慣を見直すことで改善するの?

男性不妊は原因がわからないことも多いようです。そのような男性は生活習慣を見直すことで男性不妊が改善することがあります。
精子の数や運動率は食生活、睡眠時間、ストレス、喫煙、温度などとの関連性が指摘されています。
肉中心の食事をとり、7時間以上の適切な睡眠時間を確保し、禁煙をすることなどで精子の質の向上につながり、自然妊娠の可能性が高くなるといわれています。

無精子症、乏精子症、精子無力症の人の精液はカルニチン濃度が低いの?

精子の運動率は精子だけではなく、精液の精漿中に存在している成分が関係しているという報告があります。精漿中の成分が精子に取り込まれ、精子の運動率に影響を与えているとされています。

L-カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに運搬する働きがあります。精子の中片部にはミトコンドリアがあり、そこで合成されたATPが精子の運動のエネルギー源となっています。

精液の精漿中のカルニチン濃度と、精子濃度と精子の運動率には関係があるという論文が発表されました。
その論文では、精漿中のカルニチン濃度が低いと、精子濃度と精子の運動率が低いことが報告されています。また、L-カルニチンを摂取することで、精液の精漿中のL-カルニチン濃度が高まり、精子濃度や精子の運動率が向上すると指摘されています。

カルニチンはDNAの損傷を防ぐの?

男性不妊の原因のひとつに、精子DNAの損傷があると考えられています。DNAの損傷は、紫外線や喫煙、ストレスなど多くの原因がいわれてますが、活性酸素がDNAを攻撃し損傷させてしまうことも原因のひとつだといわれています。
正常な精子は卵子と結びつくと細胞分裂が進みます。しかし、精子DNAが損傷している精子は、卵子と結びついても細胞分裂が正常に進まない可能性があるといわれています。

L-カルニチンは強い抗酸化作用で、活性酸素の生成を抑制することによってDNAの損傷を防ぐ効果があることが報告されています。
L-カルニチンの抗酸化作用によって、DNA損傷の可能性を減らすことで男性不妊の改善が期待されています。

カルニチンの摂取で注意することは?

カルニチンは水分に溶けやすい物質のため、過剰に摂取された分は尿に溶け排出されます。そのため、L-カルニチンを過剰摂取してもそれほど問題はないと考えられています。

しかし、L-カルニチンを過剰摂取すると吐き気、嘔吐、腹部痙攣、下痢、強い体臭などの症状が現れることがあります。また、心血管疾患のリスクを増加させる可能性があるという報告もあります。
このような報告もありますのでL-カルニチンを服用する際には指定された量を服用することがこのましいといえるでしょう。

(まとめ)男性不妊の改善とカルニチンの関係性

男性不妊の改善にはカルニチンが関係あると考えられています。

L-カルニチンの摂取によって、精子濃度の増加や精子の運動率の向上がみられるという報告があります。

L-カルニチンは体内でも作られますが、食事やサプリメントで補給することが必要とされています。

男性不妊の原因は造精機能障害が最も多い

男性不妊で悩んでいる80%以上の人は、造精機能障害が原因だといわれています。造精機能障害は、先天性のものと後天性のものがあります。

男性不妊の改善法

男性不妊の改善法は、外科的手術、顕微授精、投薬、生活習慣の改善などがあります。

しかし、まだ造精機能障害を改善するための確立された治療法はないといわれています。

無精子症、乏精子症、精子無力症の人の精液はカルニチン濃度が低いという報告がある

精漿中のL-カルニチン濃度が精子濃度、精子の運動率に関係しているという報告があります。L-カルニチンを摂取すると、精漿中のカルニチン濃度が高くなり、精子濃度や精子の運動率が向上すると指摘されています。

カルニチンはDNAの損傷を防ぐという報告がある

L-カルニチンの抗酸化作用により、男性不妊の原因のひとつである精子DNAの損傷を防ぐ働きがあるという報告があります。

カルニチンの摂取で注意すること!

カルニチンを過剰に摂取すると、吐き気、嘔吐、腹部痙攣、下痢、強い体臭などの症状が現れることがあります。また、心血管疾患のリスクを増加させる可能性があるという報告もあります。