顕微授精(ICSI)とは?

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顕微授精(ICSI)とはどんな治療なの?

顕微授精は、不妊治療のひとつです。
精子に問題がある場合は、人工受精や体外受精よりも妊娠にいたる確率が高いといわれています。顕微授精で妊娠にいたる確率は、年齢や精子の質も関係しているという報告があります。

顕微授精は、精子の数が少なくても妊娠する可能性があるというメリットがありますが、デメリットもあるので顕微授精をおこなう際にはデメリットについても把握をしておきましょう。

顕微授精をおこなって妊娠にいたらない原因は、男性の精子に問題がある可能性もあるため、男性側も積極的に検査を受け、精子の質の改善に努めることが大切です。

顕微授精(ICSI)はひとつの精子を選び卵子と受精させ、受精卵を子宮に移植させます

顕微授精は、女性から卵子を取り出し、男性から採取した精子と体外で受精させることは体外受精と同じですが、受精の方法が体外受精とことなります。

顕微授精は、ひとつの精子を選び、顕微鏡下で細い針で吸引して直接卵子の中に注入し受精させるのです。精子の選別は、できるだけ精子の形や運動性などが良いものが選ばれます。

顕微授精の適応は、精子の数や運動率、卵子の状態から通常の体外受精では受精が困難と予想された場合や、数回の体外受精(IVF)で妊娠にいたらない場合などです。現在、人工受精や体外受精をおこなっても妊娠にいたらなく、顕微授精を最後の不妊治療と考えている方が多くなってきています。

顕微授精で妊娠につながる確率は、体外受精(IVF)よりも高いといわれていますが、大きな差はなく25%前後という報告もあります。また、年齢があがるほど妊娠につながる確率は低くなっていき、40歳以上になると10%以下にまで下がってしまうというデータがあります。

現在、凍結胚移植は顕微授精よりも妊娠に至る確率が高いとされています。この理由は、採卵後の子宮内環境が着床には向いていないこと、胚を冷凍保存するときに妊娠可能と考えられる胚しか冷凍保存しないこと、だといわれています。

顕微授精にはリスクがあるとよくいわれていますが、顕微授精によって産まれた子供の奇形児や先天異常児になる可能性は、自然妊娠で生まれた子供と変わらないという報告もあります。実際のところ、顕微授精が登場してからまだ期間が浅いため、リスクに関してはまだわかりません。

顕微授精の流れは、受精方法以外は体外受精と同じです

顕微授精は人の手を使って直接受精させる以外は、検査や採卵、培養、移植も体外受精と同じ流れです。簡単に流れをご紹介いたします。

6大基本検査といわれる、基礎体温測定・精液検査・頸管粘液検査・フーナーテスト・子宮卵管造影・経膣超音波検査の他に、血液検査などの検査を行います。精子検査で、精子の数が極端に少なかったり、運動率が極端に悪かったりした場合は、体外受精ではなく顕微授精をすすめられることもあるようです。

採卵と採精をし、顕微鏡を使って受精させ培養後、胚を子宮内に移植します。移植後、約1~2週間後に尿や血液検査などから妊娠を判定します。

顕微授精はメリットとデメリットがあります

顕微授精を検討している方は、メリットとデメリットをよく理解してから決めた方がよいでしょう。

顕微授精のメリット

精子の数が少ない場合や運動率が低い場合でも、受精する可能性が体外受精に比べると高くなるとされています。また、ひとつの精子を選ぶので、ひとつの卵子に複数の精子が受精してしまう多精子受精卵のような異常受精卵を予防することができるのです。

顕微授精のデメリット

顕微授精をすることによる肉体的・精神的・経済的負担はデメリットでしょう。またリスクとして卵子に針を刺す際に、卵子を傷つけてしまう可能性があります。

排卵誘発剤を使用したことによる副作用が出る可能性があることも、デメリットでしょう。

顕微授精に精子の質は重要です

顕微授精は、精子の数が少ない場合や運動率が低い場合でも受精できる可能性がある、とご紹介いたしましたが、精子の質と妊娠率は関係しているといわれています。顕微授精でも精子のDNAが損傷しているような質の悪い精子を使うと、流産率は高くなるという報告があるのです。

精子のDNAが損傷されている精子が受精しても、正常に細胞分裂が進まない可能性があるともいわれています。

いずれにせよ精子を1つえらんでつかうわけですから、その精子がいいものであればよい結果が見込める可能性が高くなると考えます。

顕微授精に関係するQ&A

Q:不妊の原因の多くは女性側にあると思っていましたが違いますか?

A:不妊治療を受けている夫婦の半数は、男性の精子に問題があるといわれています。精子の数が少なく体外受精が難しい場合や早期妊娠をのぞむ夫婦などにすすめられる不妊治療が顕微授精です。

Q:精子のDNA損傷とはどのような状況ですか?

A:精子の頭部に入っているDNAが損傷を受けている状態です。精子の頭部の形に異常がみられたり、運動性に異常が見られる場合は精子のDNAが損傷している可能性があります。

精子のDNAが損傷されていると、受精卵の細胞分裂が正常に進まなく、流産率が高くなるという報告もあります。

(まとめ)顕微授精はどんな治療なの?

顕微授精は、不妊治療のひとつです

精子に問題がある場合は、人工受精や体外受精よりも妊娠にいたる確率が高いといわれており、妊娠にいたる確率は年齢や精子の質と関係しているという報告があります。

顕微授精(ICSI)はひとつの精子を選び卵子と受精させ、受精卵を子宮に移植させます

ひとつの精子を選び、顕微鏡下で細い針で吸引して直接卵子の中に注入し受精させるのです。精子の選別は、精子の形や運動性などが良いものが選ばれます。

顕微授精の適応は、精子の数や運動率、卵子の状態から通常の体外受精では受精が困難と予想された場合や、数回の体外受精(IVF)で妊娠にいたらない場合などになります。

顕微授精の流れは、受精方法以外は体外受精と同じです

顕微授精は人の手を使って直接受精させる以外は、検査や採卵、培養、移植も体外受精と同じ流れです。

顕微授精はメリットとデメリットがあります

精子の数が少なく、人口受精や体外受精では妊娠にいたることが難しい場合でも妊娠する可能性があるというメリットがありますが、肉体的・精神的・経済的負担はデメリットがあるので、メリットとデメリットをよく理解してから顕微授精をおこなうか決めるのが良いでしょう。

顕微授精に精子の質は重要です

精子の数が少なくても顕微授精で妊娠に至る可能性はありますが、精子DNAが損傷していると細胞分裂が正常に進まない可能性があり、流産率が高くなる報告があります。

顕微授精をするにあたって、精子の状態にも気を使いながら不妊治療をすすめていくのがより効率的に不妊治療を進めていくにあたって重要となってきます。