
少し古いデータになりますが、2002年に厚生労働省が不妊治療を受けている患者の推定人数を466,900人と発表しました。現在は、さらに多くの人が、不妊治療を受けていると予測されています。
また、体外受精と顕微授精を対象とする特定不妊治療費助成制度を利用した延件数は、2010年度は96,458件、2015年度は160,733件、2017年度は139,752件と公表されています。
発表されているデータは、全て不妊治療を実際に受けたデータです。妊娠できない夫婦の中には、不妊治療を受けずに子供を諦めている人もいるため、男性不妊の割合は発表されているよりもかなり多いと予想されています。
目次
5.5組に1組は不妊検査や治療を受けたことがあります
厚生労働省が2015年に行った調査結果では、日本で実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は、5.5組に1組でした。これは、全ての夫婦の18.2%にもあたります。
体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を受けて生まれた子供の人数は、年々増加しているという報告もあります。2007年は19,595人、総出生児数の1.8%でしたが、2016年には54,110人、総出生児数の5,54%になっています。総出生児数は減っているにもかかわらず、生殖補助医療を受けて生まれた子供の人数は、10年間で約2.8倍も増えているのです。
これは、不妊補助医療の技術が向上したことで、以前なら妊娠することが難しかった夫婦も妊娠できるようになっただけではなく、不妊補助医療を受ける人数が増加したからだと考えられています。
不妊に悩む夫婦の48%は男性側に問題があります
不妊の原因は、女性側にあると考えている人がいるかもしれませんが、男性側に問題がある場合も多いです。
WHO(世界保健機関)が行った調査結果では、不妊で悩む夫婦の24%は男性側だけに問題、24%は男女ともに問題、41%は女性側だけに問題、11%は原因不明と報告がされています。
女性側に問題がある夫婦は65%と少し多いですが、男性側に問題がある夫婦も48%と半数近くいるということです。
男性不妊のリスク因子は、小児期のヘルニアの手術やおたふく風邪を患ったあとの高熱、糖尿病などが考えられています。最近では、男性不妊と環境ホルモンの関係を指摘している報告もあります。
男性不妊が話題になることも増えたため、以前に比べると不妊治療を受ける男性は増えてきていますが、まだ女性に比べると消極的な男性が多いようです。男性側に問題がない場合でも、不妊治療は夫婦一緒に取り組むもの、という意識を持つ必要があるでしょう。
男性不妊は精液検査を受けないとわかりません
なかなか妊娠できない夫婦の中には、自分の精子に問題があるのではないかと思った男性もいるでしょうが、男性不妊は精液検査を受けないとわかりません。
女性の不妊治療を行っているクリニックに比べると、男性専門の不妊治療を行ってるクリニックは少ないこともあり、プライドや恥ずかしさなどから精液検査を受けることを敬遠しがちな男性が多いようです。
男性の精子は基準値の範囲内で、女性に問題があった場合でも、精子検査で状態を把握しておくことで、不妊治療の方針も変わってくることもあります。
精子はデリケートで、ちょっとしたことで状態が変わってしまいます。そのため、1回の検査では正確な精子の状態を知ることは難しいので、複数回精子検査を受けた方が良いでしょう。
精子の質は年齢を重ねると低下していくといわれているので、出来るだけ早く精子検査を受けることをおすすめします。
男性不妊に関するQ&A
Q:男性不妊に年齢の影響はありますか?
男性不妊に年齢の影響はあります。
女性にみられる閉経のようなことは男性にはみられず、精子は生涯作られますが、精子の質は年齢を重ねるほど低下します。
精子の質が低下してしまうため、自然妊娠はしにくくなりますし、体外受精や顕微授精の成功率も下がるという人も中にはいるようです。
Q:精子と年齢に相関関係はありますか?
人により異なりますが、一般的には精子と年齢に相関関係はあるといわれています。
40代以下、40代、50代の精子の状態をまとめた報告によると、精液量や総精子数、運動率は全て、年齢が上がるほど減少しています。
Q:男性側に原因がある男性不妊の患者は多いのでしょうか?
妊娠できずに悩んでいる夫婦の約半数は、男性側に原因があるという報告があります。はっきりとした人数はわかりませんが、男性不妊でも検査や治療を受けない人を含めると、男性不妊の人は相当多いと予測されています。
以前よりも不妊治療に積極的に取り組む男性は増えているといわれていますが、それでも女性に比べると不妊治療に消極的な男性が多いようです。
(まとめ)男性不妊ってどのぐらいいますか?
1. 人数ははっきりとはわかっていませんが、増加傾向にあると考えられています
2002年、厚生労働省が不妊治療を受けている患者の推定人数を466,900人と発表し、現在はさらに多くの人が、不妊治療を受けていると予測されています。
2. 5.5組に1組は不妊検査や治療を受けたことがあります
厚生労働省が2015年に行った調査結果では、日本で実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は、5.5組に1組でした。
体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を受けて生まれた子供の人数は、年々増加しています。
3. 不妊に悩む夫婦の48%は男性側に問題があります
なかなか妊娠できない夫婦の約半数は、男性側に問題があるという報告があります。
男性不妊のリスク因子は、小児期のヘルニアの手術やおたふく風邪を患ったあとの高熱、糖尿病などが考えられています。最近では、男性不妊と環境ホルモンの関係を指摘している報告もあります。
4. 男性不妊は精液検査を受けないとわかりません
プライドや恥ずかしさなどから精液検査を受けることを敬遠しがちな男性が多いようですが、男性不妊は精液検査を受けないとわかりません。
1回の検査では正確な精子の状態を知ることは難しいので、複数回精子検査を受けることをおすすめします。