
男性不妊の原因で最も多いのは、精子を作る機能に異常がみられる造精機能障害です。造精機能障害の約半数は原因不明であるといわれています。
原因不明の造精機能障害で軽度の異常の場合は、生活習慣の改善や抗酸化サプリの服用で精子の状態が改善した方がいるという数多くの報告があります。
効果は人によって異なっており、3~6ヶ月服用して改善が認められない場合は、違うサプリメントや漢方薬を試すことになります。
目次
1.精子は繊細なため、正確な状態を知るには複数回検査をすることが大切です
2.生活習慣を見直すことで精子の状態が改善されることがあります
3.抗酸化サプリメントの服用で精子DNAの損傷予防が期待できます
4.精索静脈瘤の治療で精子の状態が改善される可能性があります
5.不妊で悩んでいる方は精子の状態を改善することが大切です
6.(まとめ)精子の状態を改善するにはどうしたらよいの?
目次
精子は繊細なため、正確な状態を知るには複数回検査をすることが大切です
精子は繊細で、わずかなことの影響を受け状態が変わってしまうのです。精子の状態は、ストレスや食生活、睡眠時間、禁欲期間などの影響を受けると考えられています。ストレスの多い生活や乱れた食生活などを改善するだけで、精子の質が改善された人も多いという報告があります。
精子の運動率や数、濃度などは、日によって異なっていることが多いため、1回の精子検査結果が悪くても、それが正しい精子の状態を表しているとはいえません。最初の検査で悪い結果が出た方で、再検査をしたら問題がないとわかった方もたくさんいます。
生活習慣を見直すことで精子の状態が改善されることがあります
原因不明の造精機能障害である場合には、生活習慣を見直すことで精子の質が改善されたという報告があります。
精子の運動率や数、DNAの損傷などは酸化ストレスが関係していると考えられています。酸化ストレスを引き起こす原因は、ストレスやタバコ、紫外線、食事などです。
ストレスを感じないように生活するのは現代社会では難しいため、運動や趣味などでストレスを上手に発散することをおすすめします。しかし、激しい運動をすると酸化ストレスが増えてしまうため、激しい運動は控えた方が良いでしょう。
お菓子やジャンクフードなどは精液の質の低下と関係しているという報告があるため、出来るだけ控えるように心がけ、魚介類や果物、野菜を食べるようにしましょう。
精巣の血流が悪くなると造精機能に問題を生じるという報告があるため、喫煙や長時間自転車に乗ることなどは控えた方が良いと考えられています。
抗酸化サプリメントの服用で精子DNAの損傷予防が期待できます
原因不明の造精機能障害は、酸化ストレスが、精子を作る機能に関係しているという報告があります。そのため、酸化ストレスを抑制してくれる作用がある抗酸化物質を摂取して酸化ストレスを軽減させれば、精子を作る機能を改善し、精子DNAの損傷予防が期待できると考えられています。
食事だけから、十分な量の抗酸化作用が期待できるものを摂ることは難しいため、抗酸化サプリメントの利用も推奨されます。
精子の状態を改善させるためによく使用されているサプリメントには、ユビキノール(還元型コエンザイムQ10)や亜鉛、ビタミン剤(ビタミンE、ビタミンCなど)、L-カルニチンなどが含まれています。
精索静脈瘤の治療で精子の状態が改善する可能性があります
男性不妊の患者の約40%にみとめられている精索静脈瘤の治療を受けた約60%の方に、精子の状態が改善したという報告があります。
精索静脈瘤の原因は、精巣から心臓に戻る内精索静脈の血液が逆流することで、精巣の周りの血管が拡張されて瘤ができてしまうといわれています。
精索静脈瘤は、男性不妊の原因と考えられていますが、そのメカニズムについてははっきりとはわかっていません。精巣の周りに血液が停滞して精巣の温度が上昇すること、酸化ストレス、ホルモン濃度の変化などが精子の状態を悪くすると考えています。
精索静脈瘤の手術を受けてから精子の状態が改善されるまで3ヶ月以上かかるために、食生活の改善や抗酸化サプリメントの服用など他の不妊治療を並行して行って、精子の状態の改善を図ることが多いです。
不妊で悩んでいる方は精子の状態を改善することが大切です
不妊で悩んでいる夫婦の約半数は、男性側に問題があるといわれています。女性側に問題があり、男性は基準値以上の精子の状態だとしても、より一層精子の状態を良くすることで、妊娠する可能性があがるケースもあるのです。
精子の状態の改善方法は、今までご紹介したもの以外にもあります。卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌に異常がある場合は、クロミフェンを使用してFSHの分泌を増やします。FSHは睾丸に作用すると男性ホルモンの分泌を増やし、精子の産生を促進させる効果が期待できると考えられているのです。
現在はまだ、確実に精子の状態を改善させる方法はありません。しかし、さまざまな方法を試すことで、精子の状態を改善できる可能性は高くなると考えられています。
また、加齢も精子の状態を悪くする原因のひとつです。お子さんを望んでいる方は、少しでも妊娠率をあげるために、出来るだけ早く精子の状態の改善を目指すことは大切です。
(まとめ)精子の状態を改善するためにはどうしたらよいの?
1.生活習慣の改善や抗酸化サプリメントの服用で、精子の状態が改善される可能性があると考えられています
原因不明の造精機能障害は、生活習慣の改善や抗酸化サプリメントの服用で、精子の状態が改善を目指します。3~6ヶ月試して効果が認められない場合は、他の治療を試すことになります。
2. 精子は繊細なため、正確な状態を知るには複数回検査をすることが大切です
精子は、わずかなことで影響を受けるほど繊細です。そのため、1回の検査だけでは、精子の状態を正確に知ることはできません。
3. 生活習慣を見直すことで精子の状態が改善されることがあります
精子の質は、酸化ストレスの影響を受けると考えられています。酸化ストレスが増えないように生活習慣を見直すことで精子の状態が改善されることがあります。
4. 抗酸化サプリメントの服用で精子DNAの損傷予防が期待できます
酸化ストレスを抑制してくれる作用がある抗酸化物質をサプリメントで補充することで、精子DNAの損傷の予防が期待できます。
5. 精索静脈瘤の治療で精子の状態が改善される可能性があります
男性不妊の方の約40%に認められる精索静脈瘤の治療を受けた約60%の人は、精子の状態が改善されたという報告があります。手術後に他の不妊治療を並行して受けると、より効果的と考えられます。
6. 不妊で悩んでいる方は精子の状態を改善することが大切です
不妊で悩んでいる夫婦の約半数は、男性側に問題があるという報告があります。精子の状態を改善することは、妊娠率をあげるためには大切なことです。